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補助金支援①「国の補助金等:種類と趣旨」

補助金支援①「国の補助金等:種類と趣旨」

注)  ここで取り上げる補助金等や準拠法の名称は、簡略化された通称を使用しています。
級イメージ・・・上級:都含む採択5回以上、中級:採択3回以上、初級:採択1回以下か初めて

一言で補助金と言っても、多種多様なものがあります。予算主体により国、都道府県、市区町村に分けられ、対象により1次、2次、3次産業や医療介護、労働、通信、交通、建設等々があります。地域格差も大きく、東京都区内でも区により種類が極端に違います。その点、国の補助金・助成金は機会均等です。

 

以前は補助金情報を探すのに骨が折れましたが、今は中小企業庁のミラサポシステムにより、比較的容易に見つけられます。管轄が中小企業庁ゆえ2次3次産業向けの補助金等が、市区町村別に載っています。以下のURLで確認できますが、予算成立時期により掲載漏れもありますので、ご注意願います。

https://www.mirasapo.jp/subsidy/

 

補助金と助成金の違いをよく聞かれますが、厳密な定義があるわけではありません。国の場合、補助金は競争による合否=採択があり(経済産業省、総務省)、助成金は要件を満たせば受給できる(厚生労働省)のですが、農林水産省(例:減反補助金)と国土交通省(例:耐震補助金)はあいまいな様です。

大事なことは、「お金を受け取れるのは事後」です。事業にはスピードが大事なので、「事前に受け取れる」融資やファンドを、上手く使い分けた資金調達がコンサルの腕です。

 

Ⅰ.国の補助金助成金の種類と狙い

以下で触れる補助金・助成金は国の中小企業向けのものとし、主な種類や趣旨をまず確認しましょう。1月末時点のミラサポでは、省庁別に以下の様になっています。

 

1)中小企業庁:18件

・中小企業活路開拓調査・実現化・・・・・ 連携して実現、組合等が対象、団体中央会管轄

・地域・まちなか商業活性化支援事業・・・所謂、商店街等の「にぎわい」補助金

・新事業創出支援事業・・・・・・・・・・連携による新事業創出、中小機構の管轄

・IT導入補助金・・・・・・・・・・・・ もの補助から分離したIT関係の補助金

・農商工等連携支援事業・・・・・・・・・所謂「六次化補助金」、農水省同様

・ふるさと名物応援事業補助金・・・・・・地域資源活用による地方創生

・革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金・・・所謂「もの補助」で今回の主要テーマ

・商店街集客力向上支援事業・・・・・・・商店街全体のインバウンドやキャッシュレス対応

・災害復興関係・・・・・・・・・・・・・東日本、熊本大震災、水害等の被災者向け

⇒所謂「創業」「小規模持続化」「サポイン」が抜けています。(「省エネ」はエネ庁)

問い合わせると「公募中は掲載。終了後も載せるかは担当官の判断。」とのことでした。

 

2)総務省:1件

・地域経済循環創造事業交付金・・・・・・産学官金連携、地域密着型企業の立上げ

⇒総務省には他に情報通信系の、例えば「情報通信技術利活用事業費補助金」等があります。

3)厚生労働省:16件

⇒所謂「働き方改革」関連の助成金が数多くあります。申請手続は社労士法で制約を受けます。知って置いて頂きたい内容も多い故、一度目を通しておいて下さい。例えば、人材育成教育の受講や短時間勤務制度の制定活用で、助成金が出ます。詳細は省略します。

 

4)経済産業省:3件

・ものづくり中核人材育成事業・・・・・・・・・ものづくりの技術・技能承継が目的

・大人の武者修行・・・・・・・・・・・・・・・後継者育成等で、日本生産性本部が受託

・製造業外国人材受入事業・・・・・・・・・・・在留資格と就労VISA関連の企業内転勤

 

Ⅱ.「もの補助」の基礎知識

補助金として最も良く知られている「もの補助」の基礎知識に付いて述べます。

 

  • 歴史的背景

どうでも良いと思われるかも知れませんが、政策スキームは前例と準拠法をもとに決められますので、生い立ちを知っておくことも大事です。また、国の補助金助成金には、必ず準拠法があります。

「もの補助」は第一次安部内閣で生まれ、民主党政権時代に「事業仕分け」で一旦廃止、第二次安倍内閣で復活した補助金で、国債発行等による補正予算にも関わらず毎年実施されている、禁じ手政策スキームです。(ちなみに、日銀が国債を買うことも禁じ手です)

元々は、ものづくり中小企業を支援する目的で、技術課題が比較的容易な開発とそれに伴う設備投資の一部を補助するものでした(技術難易度の高いものは④上級編サポイン参照)。その後、製造業以外にも展開された事と、当該年のGDP押し上げへの即効性から、設備投資中心と成って現在に至ります。

 

2)戦略立案時に考慮する内容

歴史的背景から製造業では、日本のものづくり政策の原点「ものづくり高度化法」で定義される、12類型を強く意識して支援しましょう。また商業・サービスに付いては、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に準拠する必要があり、その10類型を意識して戦略を考えましょう。

そして最も重要な準拠法は、公募要領冒頭の「事業の目的」の記載内容から解かる様に「経営強化法」です(知識が必要)。これは「経営革新計画」と同じ準拠法であり、戦略立案への極めて重要なヒントです。

また、人件費の塊であるソフトウェア開発や、主体的に自ら実行せずにアウトソースするIT利活用では、「もの補助」から分離独立した「IT導入補助金」を活用することが推奨されています。これは特にクラウドシステムには有効です。

 

Ⅲ.「もの補助」の趣旨と審査

大企業に比べ経営資源が乏しい中小企業では、新商品新サービスの開発や設備投資への資金調達が容易ではないので、その一部を国が補助して事業化を促進します。そして、収益が出たら(基準以上の儲けが出たら)補助金受給額を上限として国庫納付します。さらに各年度の政策への適合性が図られ、平成28年度補正では経営力向上、中でも生産性向上が主目的と成っていました。

 

公募採択のある補助金の審査は、通常二回行われます。一回目は採択までの相対的評価と交付申請の要件適合性、二度目は補助事業完了後の実績報告と経費の適合性です。二回目の審査に通って初めて補助金を受給できます。経費支出の証憑類(エビデンス)の不足や補助対象外の経費計上で、減額査定されることも頻繁に起こります。補助金は採択以降に結構手間暇が掛かりますので (それ以外の理由もあり、④上級編参照)、交付申請等のタイミングで辞退される事業者様も居られます。

 

従って、一回目の審査も完了していない公募申請は予行演習の様なもので、要件を満足する交付申請により交付決定されてのち、初めて補助事業を開始できます。また、公募申請書の評価は技術士や中小企業診断士他が行いますが、評価の質はピンキリの様です。中には間違って採択されて、交付申請時に大量に修正させられた例も良く見られます。

 

補助金でのご法度は、事業者様はおカネだけを目的にする、支援者は採択さえされれば良い、との考えです。支援に当たっては、事業者様との意思疎通を良く行い、実現性のある計画とし、真に事業者様のためになる様に心掛けて下さい。

 

2018.01.31 補助金太郎プロフェッショナル