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強みの強化と独自性

ものづくり補助金採択の裏ワザ 第1回<独自性>

<はじめに>

毎年1000億円前後の予算が投入され、約1万社が平均1000万円もの補助金を受け取っている「ものづくり補助金」。高額の設備投資を考えている社長には相変わらず大人気の補助金ですが、採択される申請書のレベルが年々上がり、「特別な強みのない当社では、どう書いても採択は難しいのではないか」というあきらめに似た声も最近は聞かれるようになりました。

 

しかし、「当社はごく普通の中小企業です」と言われる社長でも、補助金を勝ち取っている方が毎年数多くいるのも事実です。いったいどういう申請書を作っているのでしょうか?気になりますね。補助平均額と採択率

そこで申請をあきらめかけている社長向けに、「ものづくり補助金採択の裏ワザ」と題し、よくある失敗事例や成功事例を交えながら、採択を勝ち取るために役立つ考え方やちょっとした工夫を、数回に分けてご紹介していきたいと思います。

<補助金の目的>

本題に入る前に、「ものづくり補助金」の申請書(計画書)はそもそも何を目指して書くべきなのか、確認しておきましょう。目的は、応募者向けに出される『公募要領』に書かれています。それは、『どのように他社と差別化競争力を強化するかを明記した事業計画』を作ることです。くだいて言えば、『補助金で設備を導入できれば<当社の独自性から生まれる他社にはない競争力>をさらに強化できます』というストーリーを語ることです。

 

つまり、<当社の独自性→他社に勝る競争力>のプロセスが核心です。このプロセス全体を<強み>といってもいいでしょう。ひまわりに例えると、日光を浴びて(設備導入で)、大きな花を咲かせる(他社にない競争力をさらに強化する)ことが目標ですが、それには根・茎という土台部分(当社の独自性)がしっかりしている必要があるのです。逆に、独自性に根差していない競争力は長期的には他社と差がつかないため、いくら強調してもほとんどポイントにはならないでしょう。

強みの強化と独自性

 

<事例研究>

以上で、<独自性・競争力・導入設備>の関係と<独自性>の重要性はおおよそご理解いただけたかと思います。では、<独自性>を具体的にどうアピールすればいいのでしょうか?よくある失敗事例と成功事例を見ながら考えてみましょう。

 

<失敗事例>

■失敗事例①

「当社の課題は、老朽化した設備に起因する品質の不安定性と生産性の低さである。設備の導入により品質と生産性の向上を・・」

 

①は、独自性や強みを強く打ち出せないため、つい課題の解消効果にばかり言及してしまう失敗パターンです。課題の解消は<競争力の強化>につながるため重要ですが、<独自性>と結びつかなければ、旧設備と新設備の性能の違いを説明しているだけになりかねません。「他の会社でもそれぐらいの導入効果は出る」と審査員に評価されると、採択される可能性はかなり低くなります。

 

■失敗事例②

「当社の強みは、●●製品に関する高度な加工技術と検査技術を有していることであり、その背景には熟練作業員や高性能加工機の存在がある。設備の導入により・・」

 

 

②は、現在の<競争力(の優位性)>は書けているものの、それを生み出す<当社の独自性>とのつながりが弱く、説得力が弱くなる失敗パターンです。<独自性>の説明ももう少し具体的にしたいところです。実は、現状のアピールすべき強みは、競争力よりむしろ<独自性>です。たとえ現在は独自性を十分活かせず競争力が弱くても(ひまわりの花が咲いてなくとも)、設備を導入すれば独自性が活きて競争力を強化できるなら(花が咲けば)、導入効果は大きいと判断されるからです。

 

<成功事例>

■成功事例①

「当社は、●●製品の顧客が集まる●●という土地で、●十年間もの長きにわたり●●製品の一貫生産にこだわってきました。この地域でそのような会社は当社以外にありません。顧客の△△社には、その一貫生産体制構築の過程で培った●●が高く評価され・・」

 

①は、小さな独自性をいくつか組み合わせて一人前の独自性にしてしまう『裏ワザ』です。「・・は当社が唯一」と言えれば成功です。もちろん、最終的にはその独自性から競争力を開花させる必要がありますが、そのハードルは比較的高くありません。「当社には独自性といえるものはない」とあきらめる前に、自社の持つ価値について多面的に考えてみてはいかがでしょうか。新たな気づきが得られれば、実際の経営にも役立つかもしれません。

 

■成功事例②

「当社が強く意識している競合△△社との比較では、設備導入により当社は下表の通り●項目の強みをさらに強くでき、●項目の弱みをほぼ克服できると考えています。その結果、顧客△△社の『●●取引業者内NO.1』の地位を固めることができると確信しています」

 

②は、ライバル会社と自社を詳細に比較検討する『裏ワザ』です。比較対象を少数のライバル会社に絞り込むことで、独自性のハードルを下げ、当社の強み・弱みを具体的に示し、導入効果に説得力を持たせることができます。総論部分でうまく独自性や競争力をアピールできなくとも、この比較のリアリティは強烈なため、論理の補強に大きく役立ちます。この機会に、改めてライバル会社と自社を冷静に比較分析してみてはいかがでしょうか。

 

<さいごに>

今回は、強みの源泉である<独自性>に焦点を当ててみましたが、参考になりましたでしょうか?時期を改めて、さらに他の重要項目も取り上げる予定です。